「褒めたんだけど、それ失礼なの?」

「もういいです、失礼します」

私は店のドアを押して外に出た。

「待って」

彼は私の後を追って来た。
裏路地に入り込み、そして腕を掴まれ引き寄せられた。

「何なんですか?」

私は彼の腕の中にすっぽり入り抱きしめられた。

「八時に店終わるから、食事しよう、スマホのお礼に……」

「離してください」

私は彼から急いで離れた。

「お礼は結構です、失礼します」

彼は私の前に回り込んで近づいてきた。

私は後退りすると、壁に背中を付けた状態になり身動き出来なかった。

「全然名前負けしてないよ、凛、すごく可愛い、マジで」

心臓の鼓動がドクンドクンと早くなった。
彼の顔が急接近して、唇を塞がれた。
キスは初めてじゃないけど、久しぶりでドキドキした。
唇が離れて見つめ合った。

「俺、大和 颯、よろしく」

「店長!ご予約のお客様です、何処ですか」

「やべえ、戻るな、八時にここに来てくれ、あっそうだ、スマホ出して」