そんな事ないのに……
私は颯に心を奪われてる、唯一年後の別れの事実に戸惑っているだけなのに……

そんなに私は器用じゃない。
廉を愛しながら、同情だけで颯に抱かれる事なんて出来ないのに……

「颯さん、廉との事は終わってます、私は颯さんが……」

と言いかけた私の唇を彼は塞いだ。
まるでその先の言葉を聞きたくないかのように。

「凛、もう何も言わないでいい、俺の残りの時間を一緒にいてくれ、頼む」

私の返事は聞かないうちに私を抱き寄せ、唇を重ねた。

「ずっと凛とこうしていたい」

「颯さん、具合は大丈夫ですか」

「ああ、大丈夫だ、今朝薬を飲むのを忘れたからな、凛と一緒に過ごしていると、つい、病気の事を忘れちゃうよ」

「お仕事は大丈夫なんですか」

「今日は、予約入ってないから休んだ、そういえば、凛は何処かに出かける所だったのか?」

「はい、夕飯作ろうと冷蔵庫見たら何も食材が無かったので、買い物へ行こうと思ったんです」

「そうか、じゃ、一緒に行こうか」

「大丈夫ですか」