私は助手席に座り、彼が運転席から車に乗り込むと、いきなり質問を浴びせた。

「凛、彼と結婚するのか?」

私の心臓がドキンドキンと鼓動が早くなるのを感じた。
どう答えていいかわからず困っていると、彼は私の腕を引き寄せ抱きしめた。

「凛、彼と別れて俺と結婚してくれ」

私は彼に抱きしめられながら思い出した。
そうだ、幸せに出来ないとはどう言う事なのだろうと聞くんだったと……

「大和さん、大和さんと結婚しても私幸せにして貰えないんですよね、どう言う事ですか」

彼は私の身体を離し、深呼吸をした。

「凛、落ち着いて聞いてほしい」

そして彼は自分の置かれている立場と病気の事を話し始めた。

「俺は祐を二十歳まで育てる責任がある、だから俺と結婚すると言うことは祐の母親と言う責任も同時に背負う事になる」

私は黙って彼の言葉を聞いていた。

「だから俺の結婚相手は、祐が懐く事が第一条件だ、そして俺の仕事は美容師、女性客を相手にする仕事だから、理解を示してくれる事が必要不可欠になる」