取引先のご令嬢との結婚が決まっていた、その事実を知って私は身を引いた。
いつも私の恋は成就しない、どうして?何がいけないの?

それから、何日か経ったある日私のスマホが鳴った。
画面は公衆電話だった、誰?
私は様子を伺いながら電話に出た。

「はい」

「凛ちゃん、僕、大和 祐」

「祐くん、どうしたの?パパと一緒なの?」

「僕一人だよ、凛ちゃんに会いたいんだ」

「今何処にいるの?迎えに行くから」

祐くんは渋谷駅にいると言っていた。
六歳の子供が信じられない、行動力がある祐くんに唯々ビックリした。
どうしたんだろうか、確か祐くんのママのお母さんと一緒と彼は言っていたが……
急いで渋谷駅に向かった。

「祐くん」

「凛ちゃん」

祐くんは私の姿を見つけると、私目掛けて駆け出した。
そして私に抱き着いてきた。

「祐くん、一人で来たの?お祖母ちゃん心配してるわよ」

「うん、でもどうしても凛ちゃんに会いたかったんだ」

そう言ってまた私に抱き着いた、微かに震えていると感じた。