「まいったな」

「店長のスマホにかけてみたらどうですか」

「よし、そうしよう」

俺は自分のスマホにかけてみた。

「もしもし」

これがのちに俺が本気で惹かれた女性、涼風 凛との出会いだった。

凛は恋愛にとても臆病になっていた。

それは三十歳の頃のトラウマが原因だった。

涼風 凛、四十歳独身、なぜこの年まで私は独身なのか。
過去の恋愛がトラウマになり、一歩踏み出す勇気が無い。
また完全に名前負けしている。
ちゃんと向き合って貰ったことがない。
ああ、哀しい。

私は下を向いて歩くことが多くなった。
そんな時、私の目に止まったのは落ちているスマホ。
スマホに目をやる、周りを見渡す、またスマホを見る、やっぱり落ちている事を確認する。

スマホを拾い上げると、スマホのバイブがブルブルと振動した。
美容室の名前がスマホの画面にあった。

えっ?美容室から電話?どうしよう。
出る?放っておく?
私は迷った挙句出る事にした。

「もしもし」

「良かったあ、今何処ですか」