「凛、遅くにごめん、明日店に来てくれるかな、カラーやってあげるから」

「わかりました、何時に行けばいいですか」

「二時ごろどう?」

「大丈夫です」

「終わったらメシ食おうよ、何食べたいか考えといて」

えっ、断らないと駄目だよ、凛。

「あのう、ちょっと予定が」

「そうなんだ、何時に店出ればいいのかな」

「六時に待ち合わせしてるので……」

ああ、うそ言っちゃった、約束なんてないのに、でも断る理由は一番いいかも。

「待ち合わせの相手は男性?」

「えっ、そ、そうです」

「彼?」

「そうです」

彼は黙ったまま、何も言わなかった。

「カラー、別の日にしましょうか」

「いや、ちゃんと約束の時間までに仕上げるよ、凛に俺が会いたいんだ」

心臓の鼓動がドクンと音を立てた、俺が会いたいんだなんてどう言うつもり?

「わかりました、じゃあ、二時で大丈夫ですか」

「ああ、大丈夫」

「それでは明日、おやすみなさい」

「おやすみ」