「ほんと?パパ」

祐くんは目を輝かせて喜びを表した。

「凛ちゃんにOK貰えないのは、パパの努力が足りないんだよ」

「そうか、じゃ、もっとぐいぐい口説かなくちゃ駄目だな」

まるで二人の会話は大人同士の会話かと勘違いするほどのやり取りだった。

動物園に行った。
何年ぶりだろう、祐くんはずっと私と手を繋いでいた。
車から降りて来た時は全く笑顔が無かったのに、今はニコニコして私に懐いている。

「祐、珍しいなあ、凛の事気に入ったのか?」

「うん、凛ちゃんを僕のお嫁さんにしたい」

もう、ビックリ、この子ほんとに六歳なの?
私が驚いていると、彼が透かさず口を挟んできた。

「駄目だ、凛は俺と結婚するんだ、祐は諦めろ」

は?何言ってるの、さらっとプロポーズしちゃって、着いて行けないよ。

「もう、大和さん、子供に向かってなんて話してるんですか?」

「俺は本気だ」

そして、私をじっと見つめた。

「凛ちゃん、僕お腹空いたな、ご飯食べに行こう」

祐くんがその場の空気を変えた。