「凛ちゃん、僕と一緒に後ろに座ろうよ」

そう言って祐は凛の手を引っ張り、車の後部座席に座った。
俺は大人げなく息子に焼きもちを焼いた。


それから三人で一日を過ごした。
祐くんは幼いながらすごく紳士で、私をエスコートしてくれた。

「凛ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫よ、祐くんは優しいのね、幼稚園でもてるでしょ?」

「そんな事ないよ」

祐くんは恥ずかしそうに俯いた。
私は意とする事があるわけではないが、ママの事を聞いてみた。

「祐くんは、ママにも優しくしてあげてるの?」

祐くんは首を横に振りながら答えた。

「ママにはちゃんと守ってくれる人がいるから、僕は必要ないんだ」

私は今目の前にいる子供と話をしているとは思えない位戸惑っていた。
そして祐くんは言葉を続けた。

「パパにも凛ちゃんいるから、僕は必要ないかも……」

私はビックリして、そんな事ないよと声を掛けようとした瞬間、彼が遮った。

「祐、凛にはまだOK貰ってないが、例え貰ったとしても、俺に祐は必要だ」