私は救いを求めるように、床に散乱している陶器の破片を握った。

その鋭利な側面で、握った手を切り、血が滴る。

破片の先端を救急隊員に向ける。

真っ直ぐに向けているはずなのに、腕が震える。

救急隊員は、一歩下り、身構える。

警察官達は、距離をとり、私をなだめようとする。

しかし、頭がぐわんぐわんと脈打ち、何て言っているのか理解が出来ない。

私は、その破片の先端を首元に向ける。

警察官達が私を囲う。

私は、大きく息を吸い込んだ。

そして、勢いに任せて、破片の先端を喉へ突き刺そうと腕に力を入れた。

これで、解放される。

一瞬の恐怖と痛みを受け止める為、目をぎゅっと閉じる。

破片の先端が喉元へ向かい進んでいく。

しかし、ぱしっと、腕を掴まれた感覚がした。

私は驚いて目を開いた。

警察官が、私の腕を掴んで、自殺を阻止していた。

私は暴れ狂った。

それを見た、他の警察官も、私の体を押さえ付け、両手を拘束した。

警察官達は、私に有無も言わせずに、連行し、出入り口から店外へ出た。

霧は陽に温められて、薄霧になっていた。

駐車場が朧げに見える。