「はは」

篠生は、何かに取り憑かれたかのように、むくっと立ち上がる。

「はは」

薄笑いしながら、ただ、立っている。

「はは、そうだよなー、死ぬよなー」

篠生の性格がまるで異なり、野蛮な言動が含まれる。

「シナモンだって、肝疾患のある奴が多量に飲んだら、どうなるかなんて簡単にわかる。だろ? なあ、婆さん」

篠生は、高圧的に、老婦へ言い詰め寄る。

老婦は、視線を左下にそらす。

「しらばっくれんなよ!」

篠生は怒鳴りながら老婦へ近づいた。

老婦は、身をのけぞって体を固くする。

篠生は老婦の胸ぐらを掴む。

「急性肝不全だよな、悪魔じゃねえよ」

篠生は今にも老婦を殴る勢い。

私は止めに入る。

「篠生! 落ち着け」

私は篠生に言う。

「黙っててください! こいつが、殺したんだ」

篠生は言う。

「何なの、急に、頭がおかしくなったんじゃない?」

老婦は高飛車に答える。

その声は、恐怖に震えている。

「正直に言えー!」

篠生は老婦の顔を殴った。

妻も止めに入る。

篠生は、妻を突き飛ばす。

老婆と娘は、目の当たりにしている。

私は再び止めに入る。

「邪魔だ!」

篠生は、私の頬を殴る。

それでも、私は止めに入る。

老婦は立ち上がり、両手でがむしゃらに抵抗する。

しかし、篠生の手加減の無い暴力には到底かなわない。