わたしは学生鞄をテーブル下の棚につっこみ、カウンターに腰を下ろし、ぞんざいに注文した。

「コーヒー淹れてよ」
 
 試してやろうと思った。
 たった3日前に来た新人がどんなまずいコーヒーを入れるのか。
 なんとなく面白くなかった。
 わたしの知らないうちに、うちの店で見も知らぬ他人が大きな顔でのさばっているのが。
 と言って、彼が大きな顔をしていたわけではない。
 単なるわたしの子どもっぽい独占欲だ。