これでようやく、わたしの苦い初恋の思い出に、本当の意味で終止符が打てたと思っていた。
 けれど、ひと月ほど経ったある日、沙奈絵ちゃんから手紙が届いた。

 開けようかそのまま処分しようか、かなり迷った。
 でも、かなりの厚みのある封書で、どう見ても、ただの会葬御礼ではなかった。
 結局、捨てることはできず、その日は開封しないまま、引き出しの奥にしまった。

 その週の日曜日、夫が子供たちを公園に連れて行ってくれることになった。

 ひととおり家事を終えたわたしは引き出しから手紙を取り出していた。