マドンナか。
 なんか、納得できる。

 たしかに沙奈絵ちゃんがそこにいるだけで、周囲がぱっと明るくなる。
 人を惹きつける華やかな魅力を持っている人だった。

「それはそうと、小坂さんとはどうやって知り合ったんだ?」 
 父の問いかけにふたりは馴れ初めを話しはじめた。

「友達の紹介なんだけどね……」
 
 ふたりで、と言っても、小坂さんは物静かな人で、ほとんど沙奈絵ちゃんの話にあいづちを打っていたぐらいだったけど。

 沙奈絵ちゃんの声は幸せいっぱいに弾んでいた。
 でも、こうして並んでいるふたりを見ても、もうすぐ結婚を控えた“アツアツカップル”という感じがしなかった。

 大人同士だから、落ちついて見えるのかな。
 そう思って、そのときは、さほど気に留めなかった。