いつしか蝉の声もやみ、季節は秋へと移りはじめた。
シド兄への想いを自覚したものの、告白する勇気はなく、わたしは前と変わらず妹のようにふるまっていた。
そのときは、調和のとれたふたりの関係が壊れてしまうことのほうが怖かった。
あの頃、彼は気づいていたのだろうか。
わたしの気持ちに。
今、振りかえってみても、それは判然としない。
けれどたまに、見られてると思うことはあった。
窓際のイスを陣取って宿題をしているときや、父に言いつけられて店の掃除をしているときに、目の端にシド兄の視線を感じることが。
だから、あのころは無邪気に信じ込んでいた。
きっと、彼もわたしが好きなのだと。
でも真面目な人だから、未成年のわたしに邪な考えを持ってはいけないと、自分の気持ちを抑えているのかもしれない。
わたしがもう少し大人になれば、この恋はきっと成就するはずだと。
シド兄への想いを自覚したものの、告白する勇気はなく、わたしは前と変わらず妹のようにふるまっていた。
そのときは、調和のとれたふたりの関係が壊れてしまうことのほうが怖かった。
あの頃、彼は気づいていたのだろうか。
わたしの気持ちに。
今、振りかえってみても、それは判然としない。
けれどたまに、見られてると思うことはあった。
窓際のイスを陣取って宿題をしているときや、父に言いつけられて店の掃除をしているときに、目の端にシド兄の視線を感じることが。
だから、あのころは無邪気に信じ込んでいた。
きっと、彼もわたしが好きなのだと。
でも真面目な人だから、未成年のわたしに邪な考えを持ってはいけないと、自分の気持ちを抑えているのかもしれない。
わたしがもう少し大人になれば、この恋はきっと成就するはずだと。