そんな考えが頭を巡っていく。考えば考えるほど焦り、外の景色も見ることが出来なかった。植木くんが寝てるのが幸いだ。彼はよく人を観察している。お見通しだとでも言うように……。


「はぁ」


 思わずため息を吐きながら願った。

 無事、帰ってこれますように。“一条 柚葉”として、楽しめますようにと願わずにはいられなかった。