「一条葉月って子! ソプラノ歌手なんだって」

「……ぇ」


 今から私、葉月と同じ場所に行くの? そんな、もう会わないだろうと思っていたのに。


「柚葉聞いてた? 大丈夫?」

「うんっ、そうなんだ」


 さっきから心臓が嫌な音を立てて止まらない。ドクンドクンと波を立てているようだ。