「まあ、璃空も送るから乗ってけ」
「うん。ありがと、じゃ遠慮なく」
植木くんは、本当に遠慮なしに車の助手席に真っ先に乗り込んだ。
「柚葉ちゃんも、乗って」
「うん……」
後部座席のドアを叔父さんは開けると、すぐに運転席の方に回った。私も急いで乗り込み、シートベルトを付ける。
「あの、自転車は置いていっても大丈夫なんですか?」
「あー……うん。取られないし、明日もそこにあるだら。無くなってたらお巡りさんが回収しただけだから」
「え、お巡りさんが回収って……大丈夫なんですか?」
すると叔父さんは急に笑い出して、「ここらじゃしょっちゅうだ」と笑いながら言った。
「柚葉、大体失くし物したら交番にあるんだよ。盗る人なんていねーから」
「そ、そうなんですか……」
「家ん鍵、しない人もいるしな」
それ、やばいんじゃないの!? 東京なら、泥棒カモンって言ってるようなもんだよ。
「まぁ、やばいけどそれの意味がそんうち分かるから」
「え……?」
ワッハハと笑う叔父さんはとても楽しそうだった。