校門で反対方向の舞美ちゃんたちと別れると、自転車を引いて歩く植木くんの後ろを付いていく。
「ってかさぁ、帰り道わかんねーってどういうこと?」
「いや、それは……朝は車で来たから……」
「あー、そっか。裕一おじさんと来たのか。だけど車で来たなら迎えに来るんじゃねーの?」
でも連絡手段もないから連絡もとれないし……。
「それに、ここ田んぼと海しかねーから慣れんと迷うし」
「確かにわからない……ここが何処だかさっぱり」
「だろ? まぁ、今日は送るけど学校と家の往復くらいはちゃんと覚えりん」
確かにここにいるならちゃんと学校までの道のりくらいは覚えないと。ずっと誰かについてきてもらうわけにはいかないし、私も嫌だ。
「柚葉、裕一さんの車じゃね?」
「あっホントだ」
前から走ってきたのは叔父さんが乗っている車だ。叔父さんは車を私たちが歩いている近くに寄せた。
「柚葉ちゃん、よかった。学校電話したらもう帰ったって聞いて急いできたんだ」
「あっ、ごめんなさい」
叔父さんは「いや、柚葉ちゃんは悪くない」と手を振りながらそう言った。
「迷子になってるんじゃないかって心配だっただけ」
「ありがとうございます、叔父さん」
「いいんだよ、まぁここは迷路みたいな感じだろ? 一つ道を間違えれば地元の奴でも迷子になることあるくらいだし」
それってすごいやばいんじゃ……? 地元民でも迷子ってどれだけなの。