「一条さん、すごい! かんばや先生をあんなばっさり」

「え? かんばや先生?」

「うん、あの人神林先生っていうんだよ。いつも上から目線で私たちを見下してくるんだよ」


 あぁ、たしかにそんなかんじだったなぁ。田舎でもいるんだな……。


「でも、一条さんって頭いいんだね。そうだ、東京くら来たんでしょ? 東京ってどんなとこ? やっぱりお洒落?」

「え、えっと……まぁ、色んな人がいるけど……」

「そーなんだ! すごい! いいな、東京」


 やっぱり田舎の人は憧れるのかな。


「そうだ! 紹介するね、この子は石田(いしだ)奈帆(なほ)


 石田さんは、ミディアムヘアで後ろを編み込みしている大人しい感じだ。


「で、こっちは元村(もとむら)和樹(かずき)


 元村くんは、学ランの制服をキッチリ着こなしている黒髪が似合う。


「よろしくお願いします」

「うん! よろしくね」

「本当はもう1人いるんだけどね、来てないんだよね」


 たしかにひと席だけ空いてるけど、そこの席の人だろうか。


「ま、お昼には来るだら」

「ほうだね、今頃寝てんじゃね?」


 え、昼から登校? 寝てる!?


「また紹介するからさ、来たらだけど」

「うん、ありがと」