叔父さんは一言挨拶すると、すぐに帰って行ってしまい1人になってどうすればいいか分からなくてキョロキョロする。


「一条さん、そろそろ教室案内するで行こうか」

「はい」

「2年のクラスは2階にある。最初は迷子になるかもだが、慣れるから」


 たしかにこの学校大きい。それに増築増築で作られた感じで吉川先生の言う通り迷子になりそうだ。


「ここだ、声かけるから待ってて」


 先生が入っていくとザワザワしていた教室は一気に静かになる。だが、教室内は再びざわつき初めた。


「せんせー! 転校生、女の子なんでしょ? 可愛い?」

「おぅ、めちゃくちゃな」


 先生、ハードル上げないで。入りにくくなっちゃうじゃないか。すると先生が顔を出して私を手招きした。

 ドキドキしながら、教室へ入る。すごい見てくる……んだけど。


「東京から来た一条柚葉さん」

「い、一条柚葉です。よろしくお願いします」


 こんなに注目されたのは初めてで、恥ずかしくて先生を見る。


「一条さんは、窓際の朝倉(あさくら)の隣の席座って」


 私は教卓から降りると、女の子が手を振っているのが見えてその隣が空いているのに気づきその席へ向かった。



 席に座るとカバンから筆箱と教科書を取り出し机に置いた。


「私、朝倉(あさくら)舞美(まみ)っていいます! よろしくね!」


 朝倉さんはショートヘアでセーラー服の上にグレーのカーディガンを着ている可愛らしい女の子だ。


「こ、こちらこそよろしくお願いします……一条柚葉です」


 2人でお辞儀をし合っていると先生に注意されてしまった。