公園を走りまわることができなくたって、小学生にはなれる。


そんな気持ちと。


公園で遊べなかったら友達ができないかも。


そんな不安がせめぎあう。


そこで彰は友達の作り方を先生に相談することにした。


すると先生は「彰くんには彰くんに合ったお友達ができるから、大丈夫よ」と、頭をなでてくれた。


これのおかげで彰は無謀なことをすることもなく、無事に小学校に上がることができた。


けれど、小学校はまるで未知の世界だった。


知らない子が沢山いるだけじゃない。


知らない先生も沢山いる。


ここはみんなの家になるんだろうか?


そう思ったときもあるけれど、どうやら違うらしかった。


家にいるのは血のつながりがある家族だけで、先生や友達はいない。


じゃあ、自分が帰っているあの場所はなんなんだろう?


この頃からようやく彰は自分がいる場所が施設なのだと把握し始めた。


じゃあ自分の家族はどこにいるんだろう?


その質問に答えてくれる先生はどこにもいなかった。


みんな彰の質問に困ったように眉を寄せ、そして彰の体を強く抱きしめるだけだった。