2人で簡単な夕飯を終わらせると、蘭はお茶を入れて廊下に座った。


目の前の大きな窓を開け放せばまるで縁側に座っているような気分になる。


空を見上げると満点の星が見える。


明日もきっといい天気になるのだろう。


「蘭はやっぱり変な子だな」


隣に座る彰にお茶をいれようと立ち上がると、彰がそれを止めた。


「自分でも、そう思ってます」


蘭は座りなおして返事をした。


彰は小さく笑い、それからまだまだ片付いていない庭へ視線を向けた。


明日はこのゴミを出しに行かないといけなくなりそうだ。


だけどその前に、彰は思うことがあって蘭の隣に座っていた。


「たぶん、俺が会話する、最後の相手が蘭になると思う」


蘭は一瞬瞬きをした。


そして彰の言葉の意味を理解する。


彰はもうすぐ死ぬ。


その前にこんな誘拐事件を起こしてしまったのだから、他の人に会えるわけがないのだ。