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それから夕方になると、また2人でキッチンに立った。


今夜は彰も料理を手伝ってくれるみたいだ。


「なにを作るんだ?」


「今日もジャガイモを買ってきたので、お味噌汁に入れようと思います」


蘭はジャガイモを洗いながら答えた。


お味噌汁には他にもニンジンやネギも入れて、具沢山にするつもりだ。


豚を入れればトン汁にもなるから、多めに作って置いておく。


「じゃあ俺が皮を剥くよ」


彰はそう言って蘭が洗ったジャガイモを手に取った。


そして右手に包丁を持つ。


「彰さんは料理ができるんですか?」


「バイト先で少しだけ手伝ってる」


それなら任せても安心かと思ったが、彰の手元は思った以上に危うい。


ゴロゴロとした形状のジャガイモを包丁で剥くのは簡単なことではない。


ピーラーがあればまだ簡単だけれど、あいにくこの家にそんなものは置かれていなかった。


蘭は何度も自分がやると申し出ようかと思ったが、一生懸命な彰の姿を見ると隣から口を挟むことができなかった。


仕方なく、自分はニンジンの皮を向いていくことにする。


形状的に言えばニンジンの方がずっと皮を剥き易い。