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結局、ゴミの分別が終わったのは夕方近くになってからだった。


今からゴミを出しても、ゴミステーションには鍵がかけられていることだろう。


「先にお風呂に入ってください」


黒く汚れてしまった彰を見て蘭は言った。


「いや、蘭が先に入ったらいいよ」


「でも、あたしは……」


そこまで言って言葉を切り、彰の部屋へ視線を向けた。


あの部屋だけはまだ片付けることができていない。


だけど寝る場所なのだから一番にきれいにしないといけない場所なはずだ。


「俺の部屋を片付けたいのか?」


「……はい」


蘭はおずおずとうなづいた。


せめてホコリだけでも取っておいたほうがいいと思う。


苦しそうに咳き込んでいる彰の姿を思い出すと、いてもたってもいられない気持ちになるのだ。