名前を呼ばれた蘭は体を震わせ、口元も震わせて涙をこぼした。


「怖いか?」


男に聞かれて蘭は何度も大きく首を縦に振った。


「そうか」


男は呟くように言うと、蘭に背を向けてテーブルの上の袋を開いた。


中に入っていたものをテーブルの上に丁寧に並べていく。


ロープ。


ガムテープ。


カッターナイフ。


包丁。


瓶に入った薬品。


ひとつひとつが並べられていくのを見て、蘭は更に涙をこぼした。


発狂しそうな心境だったが、怖くて声もでない。


男は怪しい道具を一式並べ終えると、また蘭へ向き直った。


そして覆面に手をかけたのだ。


蘭は目を見開いてそれを見つめる。