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湯船に使った蘭は大きく息を吐き出した。


彰は終始怒ったようなとまどったような表情を浮かべていた。


けれど作ったカレーは食べてくれたし、無理矢理追い出されたりもしていない。


勝手に掃除したことは微妙に感じているみたいだけれど、やってよかったと思っている。


明日の予定はすでに決めたし、今日は予想よりも疲れてしまったようでお湯につかっている間に眠気が襲ってきた。


今日は早く寝よう。


浴槽から出て体を拭き、ふと足元を確認する。


自分の分の着替えはないから彰のTシャツを勝手に拝借してきてしまった。


昼間ちゃんと洗ったものだ。


蘭はそれを手に取りそっと自分の顔に近づけた。


思いっきり匂いを吸い込んでみると洗剤の香りがする。


彰が着ていたものだと思うとまた体の芯がうずいた。


しかしそれに気がつかないふりをして、蘭はTシャツの袖に腕を通したのだった。