食事を終えると蘭は手際よく洗い物を始めた。


「いいよ、俺がやるから」


「大丈夫です。彰さんはお風呂に入ってください。あ、でもあまり入らないほうがいいんですかね?」


蘭は振り向いて彰を見つめる。


体調が悪いときは無理にお風呂に入ることはない。


そう言っているのだろう。


「あぁ。いや、入ろうかな」


「そうですか」


蘭はにこやかにうなづく。


自分が返事をするだけでこれだけ反応してくれる人がいただろうかと思いつつ、彰は風呂場へ向かった。


黒いカビが生えていた浴槽は今は輝いている。