☆☆☆

蘭の作るカレーはおいしかった。


普段からあまり自炊していないから、余計に人が作った料理がおいしく感じられるのかもしれない。


それ抜きにしても、やっぱりおいしいと感じる。


蘭は彰とひとつ椅子を空けて座り「どうですか?」と聞いてくる。


その表情はまた不安そうだ。


眉は寄せられていて、口元は笑っていない。


「うまい」


彰が簡潔に答えると、蘭は満面の笑みを浮かべる。


「よかった」


と、とても嬉しそうに、そして心底安心したように呟く。


彰はそんな蘭を珍しいものでも見るように見つめた。


「お前は俺が怖くないのか?」


その質問に蘭は笑顔を浮かべたまま左右に首を振った。


「怖くないです」


「どうして?」


「目を見ればわかります」


予想外の返答に彰は瞬きをして、思わず自分の目をこする。


それを見て蘭は楽しげに笑った。