それが終わると今度は和室だ。


この家の中でもっとも汚れている場所。


ふた間続きの和室の襖を開けて、思わず顔をしかめた。


足の踏み場もないのはまさにこのことだ。


一人暮らしでこれだけ広い家に暮らしているのに、どうしてここまで汚れるのか不思議でならない。


ゴミはそのままの状態で落ちていたり、大きなゴミ袋に入れられていたりする。


ゴミ袋があるということは、彰も少しは自分で片付けようとしたということかもしれない。


それでも体に不調を感じてなかなか動くことができず、ズルズルとそのままになってしまったのかも。


つい彰のことを考えてしまって、蘭は左右に首を振った。


今は目の前のゴミをどうするかということに専念しないといけない。


彰のことを考え始めると、どうしても手が止まってしまうからだ。


蘭は和室の襖を全部開け、廊下の窓からゴミ袋を放り出し始めた。


庭はどんどんゴミ袋が重なっていく。


代わりに和室の中は少しずつ地面が見えてくる。


そうして袋に入れられているゴミをすべて外に出すと、今度はまた地道な作業の始まりだ。


蘭はゴミ袋を持ってきて、散乱するゴミを丁寧に仕分けしはじめた。