その重いから、蘭は金だわしを使ってコンロをこすることに決めた。


力いっぱいこすれば汚れは少しずつでも取れていく。


時間も手間もかかるけれど、それが彰のためだとなると、どうってことはなかった。


また、自然と鼻歌が出てきてしまう。


自分は今彰のために動いているのだ。


そのことが蘭をとても充実した気分にさせた。


そして1時間後、頑固がコンロの汚れを撃退した蘭はキッチンの椅子に座って一息ついていた。


ヤカンを洗い、食器棚から茶葉と急須を取り出してお茶を入れたのだ。


最初キッチンに入ったときに感じた嫌な臭いはもうしない。


いつでも料理ができる状態になった。


冷蔵庫の中を確認したけれど、ほとんどからの状態だった。


変に食材が入っていて痛んでいなかっただけ、蘭はホッとしていた。


それでもこのままじゃ一緒に暮らすことはできないから、食材だけは買いに出かけないといけない。


彰が目を覚ましたら、提案してみる必要があった。


いくらなんても、もう蘭が逃げ出したり警察に通報することはないと彰もわかってくれただろう。


お茶を飲み干した蘭は手際よく湯飲みを洗い、その足で風呂場へと向かった。