廊下から見える庭はかなりの広さがあるけれど、全く手入れをしていないようで雑草が伸び放題になっている。


蘭の腰の高さくらいまである雑草の中にゴミ袋を投げ出した。


今はとにかく家の中の掃除が先決だ。


庭掃除はそれから考えたらいい。


キッチンに戻ってきた蘭は今度はシンクへ向かった。


シンクの中にはいつ食べたのかわからない鍋や、ラーメン皿が放置されている。


そこから立ち上る異臭が一番きつかった。


水を沢山流してにおいを緩和させながらせっせと食器を洗っていく。


どうしても落ちない汚れがあっても食器を捨てたりせず、洗剤で付け置きしておくことにした。


こうしておけば、明日にはどうにか取れてくれるはずだ。


それからガスコンロの掃除だ。


本当なら専用の洗剤を振り掛けておくだけで随分とキレイになるのだけれど、この家に専用の洗剤はない。


一瞬買いに行こうかとも思ったが、蘭の持ち物はすべて取り上げられている。


それに、彰が目覚めたときに一人にさせたくなかった。