布団の中で震えながらも、まだ実感は伴っていなかった。


自分が余命宣告されたなんて信じられない。


だってまだ生きている。


そりゃあ少し体は痛いけれど、でもまだ生きている。


なにかの病気ならこれから治していけばいいじゃないか。


そんな気分だった。


だけどもうダメだと言われた。


ガンは様々な臓器に転移していて、手の施しようがないのだと。


それが自分の体のことなのか、彰は何度も疑ってかかった。


それは本当に俺のカルテですか?


レントゲンを取り違えていませんか?


あらゆる可能性を医師に告げた。


しかし、どれひとつとして当てはまるものはなかった。


当然だ。


カルテやレントゲンを他人のものと間違えるなんて、そんなこと頻繁にあってたまるか。


それで彰はやっとわかってきた。


今、医師が説明していることは、全部自分の身に起きていることなのだと。


俺は気がつかないうちに末期ガン患者になっていたのだと。