「急性骨髄生白血病です」


頭の中は真っ白になった。


それから医師がなにか説明を始めたけれど、まるっきり入ってこない。


それでも返事だけはしていたようで、気がつけば入院資料を手に持って病院の廊下に立っていた。


それまでの記憶はほとんどすべて失われる中、彰はゆっくりと歩き出した。


フラフラと今にも倒れてしまいそうになりながら。


途中で入院資料を手からすべり落としてしまったが、それにも気がつかずに外へ出た。


外は相変わらずいい天気で、日差しが突き刺さるように暑い。


まだ4月下旬だというのにこの暑さなら、真夏にはどうなってしまうだろう?


そう考えて、自分の命が今年の夏を迎えないことに思い至った。


医師がくれた入院資料の表紙を思い出す。


そこには『ホスピス』の文字があったはずだ。


つまり、死ぬための病院。


彰は途中で足を止めて自分の両手を見つめた。


俺は死ぬのか?


この若さで?


まだ大学も出ていないのに?


まだ信じられなかった。


だけど医師からホスピスのパンフレットをもらったことだけは事実だった……。