待っていたのは50代半ばほどのかっぷくのいい医師だった。


医師は青い顔をしている彰を見るなりベッドに横になるように指示をした。


立って歩くのもしんどい状態だった彰は、ベッドに倒れこんだ。


それから医師は彰の服をめくり心音を聞いたり、勝手にエコー検査を始めたりした。


彰はそれまでに「とにかく体が痛い」としか伝えていなかった。


そしてレントゲン結果が出たとき、医師は深刻な表情に変化していた。


なにかよくないものが見つかったのだ。


彰は瞬時にそう感じた。


だけどそんなに重たい病だとは思っていなかった。


せいぜい尿管結石とか、体に強い痛みをともなうなにかなのだろうと。


しかし医師はもっと大きな病院で検査するように進めてきた。


できれば今日中に行ってきなさいと。


大きな病院までは今の状態の彰が歩いていけるような距離ではなかった。


そのことも考慮して、医師はタクシーを呼んでくれた。


タクシーの中でも痛みは消えず、後部座席でずっと横になっていた。


それに医師本人がそこまでしてくれるということに違和感を覚え始めていた。


もしかして自分は大きな病気なんじゃないか。


入院とかすることになったらどうしようか。