しかし、相手は男の異変に気がつかなかった。
「あ、彰か? 今日の講義午後からだっけ? 悪いんだけど俺のノートコピーしといてよ」
それはいつも男、彰が頼まれることだった。
講義をサボりたい同級生が連絡をしてくるのだ。
彰は相手の変わりに講義を聞いて、ノートをとり、それをコピーして手渡してやる。
「じゃあ、頼むよ」
そう言って相手は電話を切ってしまった。
「ちょっと待て」
と言ったが、その声も届かずに通話は途切れる。
彰はスマホを思いっきり壁に投げつけ、ベッドの上で体を折り曲げて痛みにうめいた。
それから1時間ほど経過したとき、少し痛みが和らいだのを見計らって彰は近くの診療所へ来ていた。
平日の昼間だというのに、年配の受診者が多い。
みんなここが担当医になっているようで薬などをもらいに来ているようだ。
周囲を見回してみても、彰ほど体調が悪そうな人は見当たらない。
それでも十分に順番を待たされて、彰はようやく診察室に呼ばれた。
「あ、彰か? 今日の講義午後からだっけ? 悪いんだけど俺のノートコピーしといてよ」
それはいつも男、彰が頼まれることだった。
講義をサボりたい同級生が連絡をしてくるのだ。
彰は相手の変わりに講義を聞いて、ノートをとり、それをコピーして手渡してやる。
「じゃあ、頼むよ」
そう言って相手は電話を切ってしまった。
「ちょっと待て」
と言ったが、その声も届かずに通話は途切れる。
彰はスマホを思いっきり壁に投げつけ、ベッドの上で体を折り曲げて痛みにうめいた。
それから1時間ほど経過したとき、少し痛みが和らいだのを見計らって彰は近くの診療所へ来ていた。
平日の昼間だというのに、年配の受診者が多い。
みんなここが担当医になっているようで薬などをもらいに来ているようだ。
周囲を見回してみても、彰ほど体調が悪そうな人は見当たらない。
それでも十分に順番を待たされて、彰はようやく診察室に呼ばれた。