口の中にたまっていた血はすでに蘭がかき出してくれていたようで、嫌な味は感じなかった。


犯罪者に向かってここまでするなんて、どうかしてる。


「どうして死にたいのか、教えて」


その質問に男はかすかに鼻で笑った。


「さっきお前が見たとおりだ」


「どういう意味?」


「俺の余命は、あと3週間だ」


その言葉に蘭は目を見開いた……。