それからキッチンと風呂場を見つけた欄は風呂桶に水をため、何枚かタオルを持って先ほどまで自分がいた部屋に戻ってきていた。


ここは地下室だったようだ。


どうりで、最初の時大声で悲鳴を上げても誰もこなかったわけだ。


急いで男のもとに駆け寄り、血で汚れている口元と手をタオルでふき取った。


口の中に嘔吐物がないか確認し、汚れていないタオルをぬらして男の額に当てた。


熱が出ている様子はないけれど、これくらいのことしか自分にはできない。


ついでに床の掃除も終わらせてから、蘭は再び家の中へと戻った。


和室の押入れを確認すると毛布があり、それを引っ張り出して両手に抱えた。


干したり洗ったりしてないようで少し湿っていたけれど、コンクリートの上にそのまま横になっているよりはマシなはずだ。


それから電話を探したけれど、固定電話は設置されていないのか見つけることができなかった。


かといって男が蘭に簡単に見つけられる場所にスマホを置いているとも思えない。


救急車とか、どこかの先生に往診に来てもっらったりしたかったけれど、それは諦めるしかなさそうだ。


蘭は毛布を抱えて再び地下室へと急いだのだった。