「それに……」


母親は手を止めて軍手を外すと蘭の体を抱きしめた。


「……お母さん?」


「お母さんは、あんたに謝らないといけないことが沢山あるよね。本当にごめんね」


きつくきつく抱きしめられる。


それに驚いて、涙は引っ込んでしまった。


あの時につけられた傷も、心の穴も、簡単に塞がるものじゃない。


自分はきっと、ずっとなにかが欠けたままだろう。


だけどきっとすべてがうまくいく。


そんな気がした……。



END