蘭の膝から空を見上げている彰は呟く。


蘭も同じように空を見上げて見た。


路地の形に切り取られた空がさわやかな朝の色に染まっていく。


「本当だね」


「俺たち、もっと別の方法で出会うべきだった」


「後悔しているの?」


視線を彰へ向けて聞くと、彰は少しの間押し黙った。


そして「いや。後悔はしてない」と、答える。


蘭もそれにうなづいた。


そう、あたしも後悔はしていない。


一般的にはありえない出会い方でも、欠けているもの同士が出会うにしては、ちょうどいい出会い方だった。


「後悔はしてないけど、やり残したことならある」


「なに?」