法律違反のストーカー行為をしていたくせに、持っている情報がごく少ないものだけだ。


途端に自分のしてきた行為が滑稽に感じられた。


きっと智志くんのときもそうだったんだろう。


相手に散々恐怖や嫌悪を感じさせておいて、その実自分は智志くんのことをなにも知らないままでいるんだろう。


自分なら彰を探すことができる。


そう、思っていたのに……。


悔しくて情けなくて、言葉にならない感情が胸の奥からあふれ出してくる。


声を上げて泣きそうになってしまい、蘭は慌てて細い路地へと身を隠した。


途端にボロボロと涙が溢れて立っていられなくなり、背中に塀を押し付けて座り込んでしまった。


もうダメだ。


ここまで探して見つけられないんじゃ、もう二度と彰には会えない。


最低な別れ方をしてしまった。


あんな、喧嘩みたいなことするんじゃなかった。


いくら後悔してももう遅い。


もう、彰には会えないんだから……。