「ただの高校生なわけないだろ!?」


頭を抱えて怒鳴る。


この女はいったいなんなんだ。


ここまで冷静でいられる理由は1つしかない。


すでに外部と連絡が取れていて、助けがくるとわかっているだから。


それとも、他になにか目的があるとでも言うんだろうか。


男は顔を上げて蘭を睨みつけた。


その目は人を刺すように鋭い。


「お前の目的はなんだ」


「目的?」


「そうだ。目的があるからそんなに余裕な顔してられるんだろ!?」


その質問にも蘭は左右に首を振った。


どうしてそこまで勘ぐられているのか、不思議に感じている表情だ。


「目的なんてなにもない。あたしは突然あなたに誘拐されてここで目が覚めたの。あなただってしっかり理解しているでしょう?」


そう言われると男は弱かった。


蘭が言うとおり、自分は用意周到に蘭をここまで連れてきた。


といっても人を誘拐するのは始めてのことだ。


もしかしたら目撃者もいかもしれない。


その人がすでに通報しているかもしれない。


だけどそれは蘭も自分もまだ知りえないことだ。


蘭にここまでの余裕があるのは、やっぱり怪しい。