男の胸には更なる焦りが生じていた。


蘭は自分になにか隠している。


もしかしたらとっくに警察に通報されていて、突入されるのは時間の問題なのかもしれない。


ついさっき外を確認したばかりでそんなことはないとわかっているのに、不安は募る。


男は蘭を見下ろし肩で呼吸を繰り返した。


蘭はそんな男をジッと見上げている。


大きくて黒目がちなめが男を見つめる。


次の瞬間男は蘭の服に手をかけていた。


乱暴に引きちぎるように脱がしていく。


ロープが邪魔をして半端にしか脱がせることができなくて、そこで手を止めた。


そして、蘭の様子を確認する。


蘭は、笑っていた。


うっすらを笑みを浮かべ、恍惚とした表情で目を閉じているのだ。


「なんだよお前……」


男は蘭から手を離し、そして数歩後ずさりをした。


蘭はゆっくりと目を開ける。


「安心して。あたしは通報なんてしてない。仲間だっていない。ただの高校生だから」