それから蘭は気持ちを奮い立たせて彰の家の近くまで戻ってきていた。


大きなマスクをつけて自分だと悟られないように注意しながら、電信柱の影からそっと様子を伺って見る。


するとそこには複数の警察官や野次馬、そして報道陣などでごった返していた。


昨日逃げ出したときよりも遥かに人数が増えている。


この付近を歩くだけでも何人もの警官を見かけたし、これでは彰はここに戻ってくることはできなかっただろう。


じゃあ、一体どこに行ったんだろう?


病に侵された体でどこまでもいけるとは思えない。


蘭はきびすを返して家に背を向けた。


とにかく彰が行きそうな場所を手当たり次第に調べてみるしかなさそうだ。


といっても、それも数が限られているけれど……。