男女問わず仲がよくて、みんなが仲間って感じのクラスで、浮いている子なんてひとりもいない。


そんなクラスに自分はいたのだと思い出した。


途端にジワリと視界が滲んで、涙が零れ落ちていた。


スマホ画面に水滴が落ちたのを慌てて手のひらでぬぐい、電源を落とした。


「スマホの電源つけちゃダメだよね。位置情報でバレちゃうから」


蘭は頬の涙をぬぐい、なんでもない顔で振り向いた。


その瞬間険しい表情の彰と視線がぶつかった。


手の中でスマホをギュッと握り締める。


「……やっぱり、蘭は帰ったほうがいい」


その言葉でみんなからのメッセージを読まれてしまったことがわかった。


蘭はキュッと唇を引き結び、左右に首を振った。


「ちょっと、学校のことを思い出しちゃっただけだから」


「それなら帰ればいい。みんなのところに行くんだ」


「嫌だ、帰らない!」


蘭は彰を睨みつけて答えた。


ついさっきどれだけ彰のことが好きか伝えたはずだ。


彰だって引いてしまうくらう好きだとわかったはずなのに、どうしてそんなことを言うんだろう。