「晩ご飯はちょっと豪華なものにしようよ」


「豪華なもの?」


「うん。あたしたちが一緒に暮らし始めて2週間記念日だから」


「それを言うなら、誘拐してきて2週間記念日だろ」


彰の言葉に2人して笑った。


しかし、彰はすぐに真顔に戻っていた。


「テレビをつけてみよう」


その提案に蘭はビクリと体を跳ねさせた。


ここに来てから1度だけテレビをつけたことがある。


その時はニュース番組をしていなかったけれど、今の時間はちょうど昼のニュースが始まったくらいかもしれない。


「別に見なくていいじゃん」


「どうして?」


「だって……」


蘭が最後まで言うより先に、彰はリモコンを手にテレビをつけてしまっていた。


途端に部屋の中が騒々しくなる。


自分たち以外の声が聞こえる空間は、こんなに騒がしいものだったのかとびっくりしてしまった。