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夜中中、彰はうめき声を上げて苦しんだ。


その声が聞こえてくるたびに蘭は彰の部屋へ急ぎ、様子を確認した。


しかし、薬も飲んで病院にも行くことができない状態ではこれ以上できることはない。


蘭はひたすら彰の汗をぬぐい、少しでも呼吸が楽になるようにパジャマのボタンを外す。


そして彰の手を握り締めた状態で、窓から朝日が差し込み始めた。


夜中中苦しんでいた彰は目を閉じて規則正しい呼吸を繰り返している。


額に手を当てて熱を確認してみると随分と下がっていることがわかった。


蘭はホッと胸を撫で下ろしてベッドの横に座り込んだ。


もしかしたらもうダメなのかもしれないと、昨夜の内に何度恐怖を感じたことか。


こんなに早く彰とのお別れが来るなんて思ってもいなかったから、蘭の心臓は早鐘を打ち続けていた。


それが朝になり熱が下がってきたことでようやく安心することができた。


「蘭……?」


か細い声で呼ばれて振り向くと、彰がうっすらと目を開けていた。


「ここにいるよ」


そう言って彰の手を握る。


彰はホッとしたように笑みを浮かべた。