「彰さん、一緒に病院に行きましょう」


その言葉に熱で赤らむ顔をした彰は薄目を開けた。


そして左右に首を振る。


声を出すのも苦しいみたいだ。


「どうして!?」


蘭は思わず声が大きくなってしまった。


「病院なんか行ったら……バレる」


彰にそう言われて、蘭は口を結んだ。


確かにその可能性はある。


だから今まで買い物をするときは帽子やマスクを使っていたし、できるだけ外には出ないようにしていた。


でも今は状況が状況だ。


「薬があるから大丈夫だ」


彰はそう言ってサイドテーブルの引き出しの一番上を蘭に開けさせた。


そこには白い袋に入れられた薬が何種類も入っていて、蘭は目を見張った。


わかっていたことだけれど、こうして薬を目の当たりにすると言葉を失ってしまう。


「薬を飲む前に、少し食べてね」


蘭は気を取り直してそう言い、彰の口におかゆを運んだのだった。