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お互いのことがほんの少しだけわかっていた。


重たい過去を背負い、それでも生きてきた2人は更に距離が縮まり、なにをするにも一緒に行動するようになっていた。


「蘭にはこれが似合いそうだな」


大型スーパーで蘭の服を選んでいたとき、彰がビキニを持ってそう言った。


「なに言ってるの。今日は普通の服を買いに来たんでしょう」


蘭はそう言いながらもまんざらではなさそうな表情だ。


少し気の早い夏用品が並べられた一角で、2人ははしゃぎながら商品を見ている。


しかしふと蘭の表情が翳った。


このビキニを来て海やプールに行ける時期にはもうきっと彰はいない。


途端にその現実を思い出してしまったのだ。


彰はそんな蘭の表情の変化にすぐに気がついて、夏もの売り場から移動した。