だけど、今日は本当にどこへ行くんだろう?


母親は鼻歌を歌いながら準備を進めている。


それを聞いて蘭はハッと顔を上げた。


母親は機嫌がよくなると自分でも気がつかない内に鼻歌を歌うのだ。


この2年間蘭は母親の鼻歌を聞いてこなかった。


こんなに機嫌がいいなんてどういうことだろう。


自分がなにかしたんだっけ?


考えてみても思い当たることはなにもない。


テストで高得点をとっても、率先して家事を手伝っても、母親が鼻歌を歌い始めることなんてなかったから。


だからこそ、今日は一体なにがあるのか、蘭の胸には不安が広がって言ったのだった。