これで大丈夫だろうか。


ボロの服は選ばなかったけれど、普段オシャレをしない蘭には自信がなかった。


もし失敗していたら。


また殴られるだろうか?


考えるだけで胃の辺りがギュッと傷んだ。


吐き気を感じて口元に手をやる。


その時「蘭、着替えは終わったの?」と、廊下から声をかけられて、蘭は吐き気を飲み込んだ。


今日は外でご飯だと言っていたし、今吐き気がするなんて言うことはできない。


母親のいかなる用事も自分が台無しにするわけにはいかない。


「うん」


蘭は短く返事をして部屋を出た。


母親は蘭の服装をマジマジと見つめて、その間蘭は生きた心地がしなかった。


いつ手や足が飛んでくるか。


そのことばかりを考えて身構えた。


「うん。まぁいいんじゃないの?」


ニッコリと微笑む母親に蘭は大きく安堵のため息を吐き出した。


どうやらこの服で大丈夫だったようだ。